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World Youth Choir 2003 in Switzerland
世界青少年合唱団2003
2003年7月11日〜8月8日


"My homeland is the World" 〜WYC2003に参加して〜

春山 連(山形県)

 「自分にとって合唱とは何か。」このような問を胸に抱き、私は一年ぶりにWYCに参加しました。今年は約30の国々から80名のメンバーが集まり、スイスでのリハーサルキャンプがスタート。氷河を頂く山々が眼前に広がると言う絶好のロケーションで、スイスの大自然を満喫しながらのリハーサルは、とても充実したものとなりました。
 ヨハネス・プリンツ氏のリハーサルは、非常にユニークかつ音楽性に富んだものでした。特に、ウォーミングアップや練習の組み立て方など、常にメンバーの心をつかんで離さない魅力に富んでおり、普段高校で合唱の指導にあたっている自分にとってまさに目がさめるような体験でした。かつ、言葉の発音の仕方、ハーモニーの組み立て方など、基礎を決して疎かにしない、音楽の構成感を重視した厳格な練習が行われ、特にブラームスの二重合唱や、スイスの作曲家ブルクハルトの作品などは、非常に完成度の高い曲に仕上がりました。
 プリンツ氏のステージは、いかにもドイツ音楽の魅力を十分にたたえたものになりましたが、対照的だったのが、マリア・ギナンド女史のステージです。プログラムは、難曲として知られるピツェッティの「3つの合唱曲」。半音階とハイトーンの連続にみな苦労しました。そしてラテンアメリカの合唱音楽。西洋音楽の耳に慣れ親しんだものにとっては始めて耳にするような語法が多く用いられ、メンバーの中には戸惑いを感じるものも多くいました。特に、ベネズエラの作曲家アルベルト・グラウの作品"Mi patria es el mundo"は、様々な体の動きや雑音、3人の語りなど、斬新な音楽語法を大胆に取り入れた、前衛的な作品。リハーサルは困難を極めました。しかし、「世界には様々な人々が住み、様々な形の音楽文化をもっている。その差異を肯定すること、自分とは異なるものに対して常に心を開いていること、これこそが最も重要なことである」というマリア女史の信念と情熱的な指揮に、メンバーは奮い立たされました。これらの曲がステージに響き渡ったときの感激は、忘れられません。"Mi patria es el mundo"とは、「私の故国は世界そのものである」という、セネカの言葉ですが、この曲はまさにWYCを象徴する曲であったといえます。
 様々な価値観・歴史・文化を持った人間が1つのものを作りあげ、それを共有することは、けっして容易なことではありません(歴史を振り返っても、また現在でもそのような事例は数え切れません)。しかし、合唱音楽には、人々の心と心をつなぐ力があり、WYCとは、合唱音楽を通じて、人類共生の可能性を拓いていく場である、ということを、今回WYCに参加して改めて実感しました。これまでこのような場に身を置けたことを心よりうれしく思います。ここで得た様々な経験を生かし、もっと多くの人に、合唱音楽のすばらしさ、人間のすばらしさ、共生の大切さを伝えていけるよう、努力していきたいと思います。


Conductors: Maria Guinand, Venezuela and Johannes Prinz, Austria
Rehearsal camp place: Ecole d'Humanite in Halisberg, Switzerland
Dates: From July 11th to August 8th, 2003
Concert Places:
25 July : Michaelskirche in Halisberg, Switzerland (Music Festival Meiringen)
27 July : Marienkirche in Davos, Switzerland (International Young Artists Festival)
28 July : Mehrzweckhalle in Celerina, Switzerland (Summer Festival Oberengadin)
30 July : Pfarrkirche St. Vitus in Festung, Kufstein, Austria
31 July : Pfarrkirche St. Karl in Hohenems, Austria
1 August : Veranstaltungshalle in Andorf, Austria
2 August : Stiftskirche in St. Paul, Austria (Kultursommer St. Paul)
3 August : Dom Sv Jozef in Celje, Slovenia
6 August : Klosterkirche in Rheinau, Switzerland
7 August : Furstenlandsaal in Gossau, Switzerland
Programme:
First part, conducted by Johannes Prinz
Fest- und Gedenkspruche, op. 109 for double choir a capella, Johannes Brahms
Kleiner Psalter (1954/55), Willy Burkhard
- Wie lieblich sind deine Wohnungen
- Eile, Gott, mich zu erretten
- Ich hebe meine augen auf
- Herr, mein Herz ist nicht hoffartig
- Herr, wie lang willst du mein so gar vergessen ?
- Singet dem Herrn ein neues Lied
An Ode for Music fur sechsstimmigen gemischten Chor (1963), Zoltan Kodaly
Aus : <Das Nasobem> (1950), Franz Tischhauser
- Das Nasobem
- Geiss und Schleiche
- KM 21
Funiculi-Funicula (G. Turco/Luigi D'Enza), arr. by Albert Hosp
- Angelina ! (Louis Prima)
Second part, conducted by Maria Guinand
Tre Composizioni Corali, Ildebrando Pizzetti
- Cade la sera
- Ulutate
- Recordare domine
Das Rad - The Wheel (1998), Roland Moser
Jubiaba, Carlos Alberto Pinto Fonseca
Mi Patria es el Mundo, Alberto Grau
South American folk songs
- Fulia de Cumana, arr. by Modesta Bor (Venezuela)
- Verde Mar de Navegar (Brazil)
Cloudburst for mixed choir, piano and percussion, Eric Withacre


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