英国の薫りただよう、80年の歴史を誇る放送合唱団

 BBC(英国放送協会)が組織する、室内合唱規模ではイギリス唯一のプロ合唱団。BBCの発足(1922年)からまもない24年に、ラジオ放送に出演するために結成された「Wireless Chorus(無線合唱団)」を前身とする。今年結成80年を迎える、歴史ある放送合唱団である。ラジオ・テレビ放送への出演をメインに、CD録音やコンサートなどスケジュールは多忙を極める。現在の首席指揮者は、キングズ・カレッジ合唱団の音楽監督としても知られるスティーブン・クリオブリー。
 同時代の音楽作品の紹介を大きな使命とするヨーロッパの放送局の合唱団らしく現代作品の演奏には積極的で、日本でもおなじみのプーランク《人間の顔》など、彼らによって初演された合唱作品も数多い。また、ブーレーズとのシェーンベルク合唱曲全集の録音(CBS/現ソニー)なども未来にのこる貴重な仕事だ。一方、古楽演奏の盛んなロンドンの音楽事情を反映しているのだろう、オリジナル楽器編成の合奏団との共演によるルネサンス、バロック作品の演奏にも早くから取り組んでおり、16世紀から現代まで、そのレパートリーは合唱音楽の歴史のほぼすべてを網羅する。
 京都では、単独のスペシャルコンサート(8/1)の他、クロージングガラコンサートにも出演。イギリスの合唱団らしい繊細で美しいアンサンブルに期待が高まる。



日本が生んだ、世界水準のバッハ・オーケストラ&合唱団
 世界的なバッハ演奏家・研究家として知られる鈴木雅明が、バロック演奏のスペシャリストたちを擁して1990年に結成した、オーケストラと合唱団からなるグループ。
 オーケストラは、バロック時代の音色を再現するとともに、宗教作品における音楽の目的をより鮮明に表現するために、可能なかぎり当時のオリジナル楽器を用い、その演奏スタイルを再現している。また合唱は、鈴木雅明の指揮・指導のもと多くの演奏活動を行ない、ドイツ語の語感を生かした透明かつ劇的な表現力を体得している。
 バッハ没後250年のメモリアル・イヤーであった2000年には、サンチャゴ音楽祭(スペイン)、ライプツィヒ・バッハ音楽祭(ドイツ)、メルボルン音楽祭(オーストラリア)等に招かれ、それぞれのハイライトとして公演、いずれも絶賛を博した。同年には国内でもサントリーホール主催「BACH2000」のメイン・アーティストとして《マタイ受難曲》《ヨハネ受難曲》《ミサ曲ロ短調》を演奏、特にバッハ没日の《ヨハネ受難曲》公演は世界にTV生中継され、話題を呼んだ。バッハ作品を中心にCDリリースも多数。特に、94年から録音を開始して現在も継続中の「バッハ:教会カンタータ全曲」シリーズ(スウェーデンBISレーベル)は、「世紀の大プロジェクト」として国内外で高い評価を得ている。
 バッハの255回目の命日にあたる7月28日のコンサートに登場。